Close out point.

February18,13 08:30AM

“An inner process stands in need of outward criteria.”

Ludwig Wittgenstein

 

某誌のインタビューの編集マジックで、只の海外ドラマ好きとしてキャラ形成されていた私ではございますが、その昔一世風靡したドラマの最後のシーズンだけずっと見ていなかったものがありまして。

で、何年か温めた後、今年やっと全部観ました。観ていなかった理由は、打ち切りだったから。

 
アメリカのドラマの冷酷な打ち切られ方は日本の比ではなく、中にはたった2話でお蔵入りした(それも人気キャストが集まっているにも関わらず)ドラマなんかもあります。

なお、そういった状況を避けるためにアメリカドラマにはパイロット版という試作を放映する仕組みがあり、4大ネットワークには毎年500本近くのドラマ企画が寄せられ、そのなかでパイロット版の脚本を発注するのは約70本、制作にゴーサインを出すのは20本程度。
ウォールストリート・ジャーナル紙の調査によると、パイロット版20本のなかで、実際に放送が決定するのは4本から8本。そして、放送開始しても、視聴率次第で打ちきられてしまうので、シーズン2に突入できるのは、1本から2本だそうです。

そんな狭き門を潜り抜けた脚本も、シーズンを重ねるとネタも枯渇して新鮮味も失われます。
そして最後の手としていわゆるテコ入れが行われます。主人公格の悲劇の死によるキャスト替え、突然の天災などなどあらゆる手段をぶち込んで何とかしようとします。全く違う話になることも少なくありません。
結局、テコ入れは上手くいかないことの方が多く、その原因のほとんどは、当初の設計思想とかけ離れる、ということに尽きます。

そしてこれは何もドラマに限った話ではなく、ものを作る現場ではしばしば見かける光景。

 

特にクライアントワークにおいては、発注者と提案側の思想が合致しない場合に起こります。

それ自体の原因は、制作側が発注者の意図を汲み取れていない、またはその逆、途中で話が変わる=そもそものコンセプトとやらが弱い、など色々ありますが、とにかく、構図の狂った絵の細部を幾ら描き込んでも駄作になるのと同じく、一度歪んでしまった骨は幾ら肉付けしても不格好のままです。

 

・なんでこの人はこう言っているのかをもっと良く考える
・自分の趣味だけで発言していないか
・そもそもの目的ってなんだ

 

ということを受発注側双方がもっと良く考えれば良いのに、と自戒も含めて常々思う。細部が骨格に与える影響はとても大きいですが、細部の機微のみでゆがみが治る程、骨格だってやわじゃない。だから直すなら両方に手を入れる必要がある。

 

で、ゆがみに歪んだ最後のシーズン4、それまでの3シーズンを観たことを後悔するくらい酷かった。

あんなに面白かったのに。